はじめて燃える大文字を見た。
テレビではなくナマの話だ。カミさんの“火”の旅シリーズが今回、京都「五山送り火」だったのだ。
奈良「お水取り」以来、相変わらず異常な暑さがついて回る。この日も各地で40度を超えたというニュースの中、京都も37度超えだった。
「送り火」は宿泊先のホテルの屋上から観た。
この日、ホテルでは送り火観覧とセットになったディナーショーがあり、狭い屋上はごった返した。テレビの方が荘厳だったかもしれない。ま、そんなものか。
「大文字」「妙法」「船形」「左大文字」が見えた。
点在する火文字は正直地味なもので、人混みの中では宗教的感興を催すほどでもなかった。
そういえば、送られる霊たちはどこからこの火を見ているのだろう・・・と空を見上げた。
すべての火が見通せるあたり、この街の真上にこの瞬間、浄土に通ずる時空の洞が出来ているのだろうか。
霊たちは洞の前で振返り、しゃがみ込んで地上の火を眺めるのか。
あゝ、圧倒的なこの闇が主役なのだと悟った。
長時間露光では手振れ補正も効かない。
見られる写真はこれひとつ。